屋久島 やわら香

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その男は断崖絶壁の上を指さしてこう言った。
「あそこに行きます。」
「帰るなら今のウチです。」

私:「…えー、聞いてないよ。。」

屋久島と種子島のみに生育する松がある。
その名も”ヤク” ”タネ” ゴヨウ。
漢字で書くと屋久種子五葉。
五葉松の仲間である。

枝や松ヤニなどから甘い香りがするので、精油を取れないものかと思っていたところ、ヤクタネゴヨウの保全作業で枯死木の搬出作業に伴い一部もらえるという話が舞い込んだ。

種子島に約300本、屋久島に2,518本(ヤクタネゴヨウ調査隊調べ)。
絶滅危惧種であり、通常この木を切り倒すことはできない。
また、ほとんどが世界遺産地域に生育している。

私はヤクタネゴヨウの木材欲しさに保全作業作業に参加した。
当日朝、集合場所には山のエキスパートたちが全員ヘルメットを着用した状態で集まっていた。

そして、冒頭のコメントである。
山のエキスパートたちも一様に驚いた様子だった。

今回の保全作業はヤクタネゴヨウ調査隊の主催で行われた。
↓ヤクタネゴヨウ調査隊について
http://yakushima.org/yattane.htm

主催者から一通り説明を受けた後、皆でこの日の安全を山の神に祈願する。
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山で仕事をする人は信心深い。

その後道なき道を進む。
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私だけヘルメットをしていない。。

かなりの急斜面で、落石の危険があるため、間隔をあけて登る。
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そして川を渡る。
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ここ丸太を担いで渡るのか。。と、不安になる。

現場に近づくにつれ、ヤクタネゴヨウがちらほら見られるようになる。
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これは落ち葉。五葉松の仲間なので葉が五枚!

こちらはヤクタネゴヨウの松ぼっくり。
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いよいよ枯死木を解体。
作業は断崖絶壁!
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そして木はバラバラに。
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年輪が細かい!
直径35㎝で樹齢はなんと146年!
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作業後のヤクタネゴヨウ調査隊代表の手塚賢至さん。
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右手はパーじゃくなくて、屋久種子五葉の「五」の意味。
良い表情ですが、ここからが本番です。
切った木材を担ぎ下ろします。

近くには生まれたばかりのヤクタネゴヨウも!
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今回2,518分の1本失われましたが、新たに1本育ちつつあります。
大木になって欲しいです。

近くにはまだまだ元気なヤクタネゴヨウも!
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さて、バラバラにした丸太は皆で手分けして担ぎ下ろしました。
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ヤクタネゴヨウは根元から幹の太さがあまり変わらないため、丸木舟や建材などに需要があり多くが伐採されました。
種子島では昭和の初めごろまで、港を埋め尽くすほどのヤクタネゴヨウの丸木舟が浮かんでいたそうです。
丸木舟や建材などの需要がない現在、わずかに生き残った五葉松に松枯れ病が追い打ちをかけています。
この病気の蔓延を防ぐため、今回の保全作業では病気によって枯れた木を運び出したのです。

非常に大きくなる樹で、かつて種子島には幹回り12mの七尋五葉と呼ばれるヤクタネゴヨウがありました。
今は根のみが残っていて、種子島開発総合センター(通称:鉄砲館)で見ることができます。

幹回り12mはこのくらいの大きさです。
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※これは屋久島の竜神杉の隣にある雷神杉です。
 正確には胸高周囲11.6m

そして、今回はこんなものも見られました。
コショウの仲間、サダソウ。
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上に延びる3本の棒状のものが花。
サダソウを見るのは3度目で花は初めて見ました。

これはサクラツツジの幹。
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珍しくはありませんが幹がねじれた形が面白いです。
個人的にミウラ折りと関係があると思っています。
ミウラ折りについて

ヤクタネゴヨウの香の抽出についてはまた今度。

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